導入事例

利用者の利便性向上と、金融機関の書類確認業務の負荷軽減をW実現 「証明書類Web取得サービス」

常陽銀行 様、足利銀行 様

常陽銀行 様、足利銀行 様

2023年12月8日に掲載されたThe Finance様の取材内容を記載しております。

 

地域密着型の金融サービスで人々の暮らしを支える地方銀行では、独自の銀行アプリを提供しているところが多い。
このデジタル戦略を支えるツールとして注目を集めているのが、ヤマトシステム開発の「証明書類Web取得サービス」だ。
実際に採用して、利用者の利便性向上と行内の業務改善に手ごたえを感じている常陽銀行と足利銀行の担当者に、選定の決め手や導入効果、今後の方針を聞いた。
※記事中の数字は2023年11月15日現在

20代の2人に1人がアプリで取引

 めぶきフィナンシャルグループ傘下で茨城県が本拠の常陽銀行は2021年3月、スマートフォンで利用可能な銀行取引アプリ「常陽バンキングアプリ」をリリースした。「足元の利用者数は55万を超えています。特に20代は2人に1人がご活用いただいており、銀行にとって長期の優良顧客となり得る若年層へのアプローチという我々のデジタル戦略の中核的存在といえるでしょう。」(常陽銀行 営業企画部 戦略企画グループ 係長の清野脩人氏)

 同じ金融グループに属する栃木県が地盤の足利銀行も、同様のタイミングで「足利銀行アプリ」の提供をスタートした。「直近の利用者数は45万を超え、順調に伸びています。当行も、窓口に行かなくてもスマホひとつで簡単に銀行取引できる点が若年層を中心に支持を得ていると実感しています。」(足利銀行 ダイレクト営業部 部長代理の手塚翔太氏)

投資信託口座の「住所変更」が課題

 その一方で懸案として残っていたのが、投資信託・債券口座を保有するお客さまはアプリで住所変更ができない点だった。

 「2021年12月に住所変更機能を追加したが、所得税法上、投資信託・債券口座を保有するお客さまの住所変更時には本人確認書類の提出が義務付けられており、アプリには本人確認書類を提出する機能までは実装されていませんでした。」(清野氏)

 つまりアプリ利用者のうち投資信託・債券口座を保有するお客さまは、住所変更の際、従来どおり来店または郵送での手続きをしなければならなかった。提出書類に記入漏れなど不備があれば再提出を依頼するなど、さらに時間と手間がかかる。加えて、住所変更は進学や就職、人事異動などで人の移動が多い年度末に集中する傾向がある。アプリで住所変更ができないと、お客さまにとっては来店の手間や待ち時間がかかり大きなストレス・負担となる。銀行にとっても繁忙である年度末に多くの住所変更の事務処理を窓口で受けることになり、大きな負担となることが確実だった。

 「アプリの大きな目的はお客様の利便性向上と行内の事務負担軽減です。特に後者については、システムで代替できるものはデジタルに寄せ、人材は対面でのコンサルティング営業など収益性の高い業務にシフトさせる体制づくりを進めています。」(手塚氏)

マイナンバーカードや既存書類もOK

 そこで導入したのが、ヤマトシステム開発の「証明書類Web取得サービス」だ。「2012年に提供を開始した同サービスは、銀行様のサービスをご利用になるユーザー様の本人確認と、各種提出をオンラインで完結できるサービスです。アップロード機能で取得可能な本人確認書類には、運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード、住民票などがあります。もちろん、本人確認書類以外でも資金使途確認書類などお申込みに必要となる書類の取得においてもご利用いただけます。」(ヤマトシステム開発 ソリューション事業本部 ビジネスソリューション部 アソシエイト 根津可奈子氏)

 常陽銀行と足利銀行が、数ある書類Web取得ツールの中からヤマトシステム開発の「証明書類Web取得サービス」を選んだのには大きく3つの理由がある。

 第1が導入のしやすさだ。「証明書類Web取得サービス」は、必要なシステムをクラウド経由でパッケージ提供するASP(Application Service Provider)方式のため、導入に際して行内システムを大幅に調整する必要がない。「初期設定作業が簡単で、導入からサービス提供までスムーズに進められました。投資信託口座に住所変更機能を搭載しようと検討を始めたのが2021年12月頃。目標の年度末までは3カ月を切っていたので、大変助かりました。」(清野氏)

不備取り直しなどはメールで依頼

 第2が、書類申込受付・審査に関わる業務をトータルで効率化できる点。銀行のリクエストに合わせて不備取り直しや督促対応など書類取得・精査に関わる業務をサポートする。「回収した本人確認書類データの住所不一致、確認必要項目の不足、画像の鮮明さなどを確認し、不備があったお客様にはメールで書類の再提出を依頼します。依頼メールの文面に記載する不備内容は、60種類以上ご用意しており、その中から最大3種類お選びいただけます。」(根津氏)

 足利銀行では用意された不備内容3種類を選び、さらにそれぞれオリジナルのコメントを追加している。「お客様のスマホに『書類に不備がありました』とぽつんと届くのではなく、『免許証の住所が旧住所でした。新住所が明記された免許証の裏面画像をアップロード・送信していただけますでしょうか』などと具体的な対処法をお伝えできるのでやり取りの回数が抑えられ、現場行員の負担が目に見えて軽くなりました。」(手塚氏)

 そして「証明書類Web取得サービス」を導入する決め手となった第3の理由が、セキュリティシステムの安全性の高さである。クレジットカード業界における国際セキュリティ基準「PCIDSS」と準拠同等のシステム環境で個人情報を安全な環境で預かり、情報漏洩を防止する。

 「当社はヤマトグループのIT機能を担っており、年間の取扱個数が約23億個の宅配便(2022年度実績)も当社が開発・運用面で支えています。日々膨大な個人情報が行き交う宅急便事業で培ったセキュリティに関するノウハウは、『証明書類Web取得サービス』にも活かしており、厳格な情報管理が必須の金融業界のお客様にもご安心いただいています。」(根津氏)

55の地銀をはじめ約170社が導入

 現在、「証明書類Web取得サービス」は、地方銀行55行をはじめ、クレジットカード会社や保険会社といった金融業界を中心に約170社が導入している。2023年9月には、マイナンバーカードのICチップに搭載されている電子証明書で利用者の本人確認ができる「公的個人認証サービス」に対応した機能を追加。利用者側は、マイナンバーカードの読み取りとパスワードの入力のみで本人確認が行えるため作業時間の短縮が可能だ。

 「導入後の半年間で延べ2000件の本人確認書類を取得しました。これはアプリ全体の住所変更申請件数の約7%に達します。『証明書類Web取得サービス』がなかったら、年度末から新年度入りの繁忙期にこれだけのボリュームの書類を手作業で処理していたことになりますので無視できないインパクトがあったと考えています。また、2023年9月にはアプリに投資信託機能(運用状況の確認、ファンドの購入・売却等が可能)を追加したため、今後ますます投信口座保有者の住所変更申請件数は伸びていくことが予想されます。」(清野氏)

 手塚氏も導入効果に頷きながら、「想定外」のメリットもあったと付け加える。「2024年からは新しいNISA(少額投資非課税制度)が始まったりするなど、今は世代を超えてお金に対する関心が高まっています。せっかく支店に来たのに本人確認書類のやり取りだけで終わるのはもったいない。我々行員も、お客様にお伝えしたいマネープランなどがあります。『証明書類Web取得サービス』導入後は、お客様も行員も本人確認書類のやり取りから解放されて、相談したいこと・お伝えしたいことに時間をかけられるようになりました。以前よりお客様との距離感を縮めることができたと感じます。」

「証明書類Web取得サービス」の概要

証明書類Web取得サービス概要図.png

株式会社常陽銀行

 

担当者

株式会社常陽銀行
営業企画部 戦略企画グループ 係長
清野 脩人 氏

 

株式会社足利銀行

 

担当者

株式会社足利銀行
ダイレクト営業部 部長代理
手塚 翔太 氏

 

株式会社足利銀行

 

聞き手

ヤマトシステム開発株式会社
ソリューション事業本部 ビジネスソリューション部 アソシエイト
根津 可奈子 氏

 

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