導入事例
導入事例
足立区は四方を川に囲まれ、23区屈指の公園面積を誇ります。特に広々とした荒川河川敷は多くの区民の憩いの場所として親しまれています。
人口は東京23区で5番目、69万人の方が暮らしています。(2023年8月時点)
足立区 総務部では、主に区全体の庶務的な事務・事業を担当しています。
今回は、総務課 文書係の石原係長、清水様、中田様へお話を伺いました。
総務課 文書係では文書交換便の管理を行っています。
足立区の文書交換便は、本庁舎と各事業所や小中学校、福祉事務所間などを巡回する「区内交換便」と、本庁舎と都庁庁舎の文書交換室間を往復する「都庁交換便」の2種類があり、内容によっては個人情報を含む書類もあります。
特に区内交換便については、足立区は区民事務所、福祉事務所、小中学校といった出先施設の数が多いのもあり、やり取りの件数も1日あたり600件、月平均12,000件と非常に多くなっています。さらに3月や6月の繁忙期にはそれ以上(13,000件~15,000件程度)のやり取りが発生します。その業務を6名の委託事業者の方に対応いただいていましたが、区内交換便は一般文書と個人情報の区別はしていたものの、1件1件の追跡はできていませんでした。そのため、関係部署や出先施設からの問い合わせ対応や、書類の行方が分からなくなった際の事実確認に時間と手間がかかっており、そのまま紛失に至ってしまう懸念も抱えておりました。
やり取りに使う封筒を変えてみたり、区内交換便についても都庁交換便同様に送付書と受領書を用いた運用を検討してみたりといった改善の取り組みの中で、ヤマトシステム開発の「重要社内便追跡サービス」(以下「ヤマトシステム開発のサービス」と記載)を知りました。
また、当時はマイナンバー制度が開始された時期でもあり、個人情報を取り扱う文書交換便のセキュリティ強化の必要性を感じていたところでした。
類似サービスを提供している3社ほどで比較を行いました。ヤマトシステム開発のサービスについては、導入前にシミュレーションを行い、実際に導入した後の作業の流れを確認しました。本当に運用が可能なのか導入前に確認ができたのも、自治体にとっては重要なポイントだったと思います。
結果的には、文書交換便1件単位で追跡ができる機能が決め手となり、導入することとなりました。当時、他の自治体に文書交換便の運用について問い合わせても、追跡・管理にシステムを導入している自治体はおらず、郵送で対応している自治体がスタンダードでした。ただ、足立区としては「他の自治体に実績がないからこそ、足立区が最初に導入し、業務改革を行う」といった前向きな思いがあり、導入を決めました。
また、セキュリティに関してもヤマトシステム開発のサービスはシステム委員会の審査に問題なく通り、検討開始から約半年という短期間での導入を実現できました。
導入に際しては区内交換便に係る全ての職員にマニュアルを説明しハンディーターミナルやシステムの操作方法を知ってもらう必要があったため、何度も説明会を開催しました。小中学校や保育園、福祉事務所の職員も対象となる説明会でしたが、開催にあたってはヤマトシステム開発の担当者がきめ細かにフォローしてくれました。また、年度切り替えのタイミングで部署情報の変更が必要なときにトラブルが起きることも懸念しましたが、トラブル発生時の対応方法や作業手順についても、ヤマトシステム開発の担当者と密に連絡を取り合いました。
もっとも喜ばしい効果は、やはり書類の紛失が発生していないことです。
関係部署や出先施設から問い合わせがあった際には、管理画面から確認することでリアルタイムに所在が分かるため、対応時間が短縮されました。結果、ヤマトシステム開発のサービス導入後に書類の紛失は発生していません。区内交換便でやり取りしている書類が行方不明になったり紛失したりすると、庁内の業務のみでなく住民にも影響が出てしまうため、そういった点では住民サービス維持にも寄与いただいていると考えています。郵送でやり取りする場合の郵送費と比較した際に安価で済んでいる点も、足立区にとっては大きな効果の一つとなっています。また、書類が行方不明になった際に対応する職員の心理的な負荷も軽減されたと感じています。
先述のとおり、文書交換便の追跡・管理をシステム化している自治体は少ないですが、リスク軽減の観点・業務効率化の観点から、非常に有用であると実感しています。今後、より多くの自治体に導入されると良いと思います。
所属・役職、サービス名などは取材当時のものです。