導入事例
導入事例
法人および個人のお客様に幅広い金融商品・サービスを提供
・重要便の授受確認を「紙ベース」から「システム」による管理に移行
・高セキュリティレベルの安定確保
・現場部門の負担軽減
・メールセンターの負担軽減
・紙書類保管の廃止
「全行全店のオペレーションを変えることなので、導入前は心配もありましたが、実際には現場から好評でした。
また重要便の発送から受領までの運用は手軽になり、情報セキュリティの強化ができました」
新生銀行 総務部 石原 眞司 氏、南 美恵子 氏、大沢 まりこ 氏に『社内便追跡サービス』を導入した経緯と効果について詳しく聞きました。
新生銀行では全ての社内便のうち重要便は約3割から4割を占めており、その運営概要は次のとおりです。
項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
受け渡し元となる拠点 | 35店(内出張所7店) | 首都圏:19店(内出張所3店) 地方: 16店(内出張所4店) |
社内メールセンター(ハブ) | 3箇所 | 関東・関西 |
重要便の数 | 社内便全体の約3割~ 4割程度 | - |
利用者数 | 約2,200名 | ※一部グループ会社を含む |
新生銀行では、ヤマトシステム開発の『社内便追跡サービス』を、重要便の運営管理システムとして活用しています。同システムを使った重要便受け渡しの業務の流れは次のとおりです。
作業 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
1.重要便の送付状作成 | ![]() システム画面に入力の上、送付状をプリントアウト(※写真はイメージ) |
- 送付状は必ずシステムで発行する。 - 部署名、宛名はプルダウンから選択できる他に「検索 ⇒ 指定」が可能 - 部署名、宛名は人事マスターと連携 - 送付状を発行した時点でシステムは「送付開始」と認識(※1) |
2.送付準備 | ![]() 送付状を二つ折りして重要便専用のリターナブル封筒に挿入 |
![]() この状態でメールセンターに持ち込み |
3.発送受付 | ![]() メールセンターのスタッフがハンディターミナルで送付状のバーコードを読み込み、仕分けを行う |
- この時点でシステムは「重要便をメールセンターで受け付けた」と認識(※2) |
4.配達 | ![]() |
- 新生銀行では「社内便」の配達もヤマトグループ(本事例の輸送はヤマトグローバルエキスプレス)に依頼(注1、注2) ヤマトグローバルエキスプレス http://www.yamato-ygx.co.jp/ |
5.受け取り | ![]() 書類の受取側はシステムにログインして「受け取りました」の旨を入力 |
- 入力があった時点でシステムは「受け取り完了」と認識(※3) なお、受取側が「受領登録」をシステムに入力しないと5営業日目に差出側と受取側の両者に対して、未受領のアラ-トメ-ルが自動配信される |
『社内便追跡サービス』を使った各種確認作業の流れは次のとおりです。
⇒ 差出側の社員はシステムにログインすれば、受取状況の確認が可能 (上表内※3により)
⇒ 受取側の社員はシステムにログインすれば、確認が可能 (上表内※1、※2により)
⇒ システムから提供される配送実績データを参照すれば各部室店の利用状況が分かる(※ 新生銀行様では、本店内の一部グループ会社もシステムを共同利用しているので、グル-プ会社の利用状況の確認も行っている)
⇒ システムから検索が可能/重要便送付のデータは、常に半年分が保管されている。
- 注1 :『社内便追跡サービス』は、配達がどの運輸会社でも使用できます。
- 注2 : 正確には「ヤマトグループが社内便配達の推奨業者」
以前は重要便の授受は「紙ベース」で確認していました。
重要便には「4枚つづりの送付状」をエクセルで作成し、封筒にクリップ留めをして出していました。これを差出側、メールセンター、受取側が一枚ずつ抜き取り、控えとして一定期間保管します。
「送りました・受け取りました」という授受は、メールセンターと受取側それぞれの送付状控えを突合させて確認していました。さらに差出側と受取側社員が個別に電話連絡をして確認をしていたケースも散見されました。
今回、システム化を実施した理由は次のとおりです。
理由1. 「高セキュリティレベルの安定確保」
行内の重要文書は常に(1)高いセキュリティと(2)確実性を確保した上で受け渡しされる必要があります。システムの導入により、その2点を安定確保したいと考えました。
理由2. 「現場部門の負担軽減」
従来の紙ベースのオペレーションでも、それを厳格に運用すればセキュリティレベルを高く保つことができます。ただしその「厳格な運用」を実現するには、「1年間の文書保管」をはじめ「エクセルベースの送付状作成」や「個別の授受確認」など現場部門の膨大な負担(手間)が必要でした。これら現場負担をシステムの導入を通じて合理化、低減したいと考えました。
理由3. 「メールセンターの負担軽減」
以前は発送文書の授受状況が不明確な場合、差出側(あるいは受取側)は、まずメールセンターに問い合わせをしていました。メールセンターがこれに厳格に回答しようとするならば、授受管理簿と送付状控えの確認など「紙書類の突合」が必要でした。しかし年間、数万通発生する重要便の書類の中から、特定の送付状控えを見つけ出して付き合わせるのは、大変な労力と時間を要します。システムの導入を通じてこの負担を軽減したいと考えました。
理由4. 「紙書類保管を止める」
以前は社内のルールにより、差出側と受取側はそれぞれのオフィスで送付状控えを一定期間保管することになっていました。このことは新生銀行の35拠店に、常に数万枚の書類を保管、管理するコストがのしかかっていたことを意味します。システム導入により、この「紙書類の保管」をやめて負担を軽減したいと考えました。
以上の方針の元に、ネット検索や展示会などにより候補製品を調査しました。最終的にヤマトシステム開発を含む数社の提案を比較検討することになりました。
新たに導入するシステムに求めた要件は次のとおりです。
要件1. 「高セキュリティの授受確認が可能であること」
銀行業務での重要便の授受確認に使用できるだけの厳格な運用が可能であることを求めました。
要件2. 「誰でも使い方がすぐ分かり、間違えないこと」
今回のシステムは、全行約2,200人の業務オペレーションの変更を伴うものです。全ての現場にスムーズに導入するためにも、必ず簡単なシステムであることを求めました。
要件3. 「早期導入が可能であること」
今回のシステム導入は、全行的な情報管理体制の強化施策の一環でした。施策全体の実行スケジュールに合わせられるよう、「早期導入が可能なシステム」であることが必要でした。
要件4. 「価格が適性であること、十分な実績があること」
コストが適性であることは重要です。またシステムの安定性を担保するためにも十分な稼働実績があることを要求していました。
以上の要件を元に各社の提案を比較したところ、ヤマトシステム開発の『社内便追跡サービス』が新生銀行の求める要件を最もよく満たしていたので、これを採用することに決めました。
特に『社内便追跡サービス』は「クラウド型」の製品だったので、「低価格」「早期導入」の2点で高評価でした。加えてヤマトシステム開発は、「ヤマト運輸のグループ会社」であり、ITにとどまらず「物流そのもの」についての知見の深さが期待できたことも、採用理由の一つとなりました。
ヤマトシステム開発からは『社内便追跡サービス』のサービス本体の他に、多くの付帯サービスが提供されました。詳細は次のとおりです。
項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
1. コンサルティング | - 現状調査(今はどうなっているのか) - 現状分析(現状運用の脆弱点の洗い出し) - 改善提案(脆弱点を是正する具体的方法の提案) |
現状調査は、ヤマトシステム開発社員が、実際にメール室に一日居て「張り付き調査」を実施 |
2. 社内提案書 作成支援 |
上記コンサルティング内容を元に社内向け提案書の作成のサポ-トを実施 | - |
3. 追加開発 (カスタマイズ) |
基幹システムの人事マスターを『社内便追跡サービス』のマスターに連携させる附属システムを開発 | - |
4. マニュアル作成支援 | 現場社員用のシステム操作マニュアルの作成支援 | 全20P |
5. 送付状帳票設計 | 以前の帳票の項目引き継ぎおよび運用効率化のためのレイアウト変更 | - |
6. 社内説明会支援 | - 説明会の準備資料の作成支援 - 説明会で登壇し、説明&デモ - 説明会での質疑応答の支援 |
- 説明会は4日 (合計13コマ) - 各部門の庶務担当が出席 |
7. 部材提供 | - ハンディターミナル(バーコードリーダー) - リターナブル封筒 |
- |
8. 試験導入支援 | クラウド内に本番環境とは別の「試験導入用の環境」を構築 | - |
9. 導入初日 オンサイトサポート |
導入初日はメールセンター2拠店にサポ-ト要員を配備 | - |
こうした支援を経て、2015年3月に『社内便追跡サービス』による重要便運営が開始しました。
総務部としては、オペレーション変更に対する現場の反応が気がかりでしたが、説明会を丁寧に重ねたこともあり、大きな混乱もなくスムーズに導入できました。
念のため20頁のマニュアルは用意していましたが、操作の簡単さは当初の期待通りで、一度使用するとマニュアルを読まずとも操作できる方が大半でした。また授受確認は全てシステム上で行えるため、メールセンターへの問い合わせも激減しました。加えて、システムから出力された送付状は見やすく、仕分け効率も上がったため、現場の負担は大幅に削減できています。
現在、『社内便追跡サービス』は全行で好評を得ています。システムで授受の履歴が残るようになったことから、従来は通常の社内便で送付していたり、特殊取扱郵便で送付していたものも重要便を利用するようになった結果、重要便の利用件数は約2割増加しました。送付や確認の作業手順が簡略化されたことで、重要便が現場にとって利用しやすいものになったようです。
当初の目的であった「重要便の高セキュリティ運営」「現場負担の低減」の2点は、『社内便追跡サービス』の導入により、十分に達成できたものと考えております。
今回のシステム導入で、授受の明確化が図られ、紙文書の保管スペースの問題や用紙の削減に効果があったと実感しています。各拠点の現場社員からも「発送物がリアルタイムで追跡できる」「紙文書の保管が大幅に減少した」と好評です。このような導入メリットを現場社員に事前にしっかりと伝えられていたことが、導入後のスムーズな運用につながったと考えています。
新生銀行総務部では、引き続きセキュリティ向上、事務効率化並びに経費削減に取り組んでいく所存です。ヤマトシステム開発様には、そうした取り組みを優れた製品と手厚いサポートの継続提供を通じて後方支援していただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。
所属・役職等は取材当時のものです。
株式会社新生銀行 様
昭和27年12月
〒103-8303 東京都中央区日本橋室町2-4-3 日本橋室町野村ビル